環境社会課題のオープンチームサイエンスにおける情報非対称性の軽減

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研究プロジェクトについて

環境にかかわる社会の課題に対する理解が、たとえ知識や価値観、社会経済的地位のちがいや歴史的経緯によってずれていたとしても、課題解決に向けた行動につなげるための理論と方法を、琵琶湖の水草大量繁茂への対処やオマーンにおける伝統建築保全などの実践をとおして探究します。研究を通じて、オープンチームサイエンスという、社会にひらかれた課題解決のための新しい学術研究のあり方を提案します。

なぜこの研究をするのか

地球環境問題は、人間社会と自然環境の相互作用が機能不全に陥り、社会が解決するべき課題として顕在化したものです。問題の構造は複雑なので、異なる分野の研究者や行政・市民をはじめとする社会の多様な主体とチームを組んで研究と実践をおこなうのが理想です。しかし、知識や価値観、社会経済的地位などのちがいが理解のずれを生んだり、歴史的経緯が継承されなかったりすると、解決がうまく進まないことがあります。環境問題への対策は後戻りが利かないため、ずれがあることを理解しつつ乗り越えて、課題解決に向けた行動を起こすための理論と方法を編み出す必要があります。地球研のプロジェクトはいずれもチーム型の共同研究(チームサイエンス)なので、このような方法論の構築と継承が特に必要です。

これからやりたいこと

写真1: 琵琶湖の水草の活用方法を考える市民ワークショップ(大津市2018年7月)

写真1: 琵琶湖の水草の活用方法を考える
市民ワークショップ(大津市2018年7月)

写真2: グラフィックレコーディングによるファシリテーション(あるがゆう氏)

写真2: グラフィックレコーディングによる
ファシリテーション(あるがゆう氏)

いま、市民がオープンデータと情報通信技術を活用して地域の課題を自主的に解決するシビックテックの動きが、市民が政策形成に直接関与するオープンガバナンスの実現につながりつつあります。このシビックテックを、市民が学術研究に参加するシチズンサイエンスと結びつけて、社会にひらかれた課題解決に資する新しい学術研究のかたちを作ります。琵琶湖では、地域の行政や市民エンジニア、研究者の人たちと一緒に、水草の大量繁茂という地域の環境社会課題に対処するためのコミュニティーづくりを進めています。また、中東のオマーンでは、経済成長とライフスタイルの変化によって放棄された伝統建築を、所有者の思いを尊重しつつ復興するための道筋を、現地の研究者や建築家とともに探っています。さらに今年度は、講演や会話をその場でイラストレーションにする「グラフィックレコーディング」という手法を用いるときに参加者の意識がどのように変わるか、描き手が何を考えながら描いているかということを、インタビューとアンケートを通して明らかにしていきます。

新しい成果

これまでのオープンサイエンスは学術的知識の開放に重点が置かれてきました。しかし、私たちは国際共同研究を通じて、〈知識生産システムの開放〉と〈へただりを超えてつながること〉を、私たちが提案するオープンチームサイエンスの中心に位置づけることにしました。実践研究において、研究データの公開をうながすFAIRデータ原則や、〈声の小さい〉主体の参加とエンパワメントを含む倫理的衡平の担保をめざします。このアイディアを、Civic Tech Forumなどの市民エンジニア向けイベントで紹介したほか、プロジェクトメンバーによる共著論文として国際学術誌に投稿中です。

集合写真

メンバー

プロジェクトリーダー

氏名所属
近藤 康久総合地球環境学研究所准教授

東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。2014年より地球研准教授。専門は考古学、地理情報学、オープンサイエンス論。文部科学省科学技術・学術政策研究所客員研究官を兼任。

研究員

氏名所属
中原 聖乃研究員
末次 聡子研究推進員

主なメンバー

氏名所属
大澤 剛士首都大学東京都市環境学部
大西 秀之同志社女子大学現代社会学部
加納  圭滋賀大学教育学部/一般社団法人社会対話技術研究所
熊澤 輝一総合地球環境学研究所
中島健一郎広島大学大学院教育学研究科
奥田  昇総合地球環境学研究所
佐藤 賢一京都産業大学総合生命科学部/NPO法人ハテナソン共創ラボ
中塚  武名古屋大学大学院環境学研究科
宮田 晃碩東京大学大学院総合文化研究科
VIENNI BAPTISTA, Biancaチューリッヒ工科大学(スイス)
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